ガラスに色をつけるには、金属酸化物を含む着色剤を使います。コバルトは青、酸化鉄は琥珀や緑、銅は青緑や赤。しかし同じ配合でも、窯の状態や焼成の雰囲気によって色が変わります。これが吹きガラスの色の面白さであり、難しさでもあります。
着色剤の種類 ¶
工房で主に使っているのは、コバルト系(青)、酸化鉄系(琥珀・緑)、酸化銅系(青緑)の3種類です。これらは粉末状の顔料で、溶けたガラスに混ぜ込むか、着色カレットとして最初から窯に入れます。京都の顔料店から仕入れているもので、ロットによる色のばらつきが少ないのが選んだ理由です。
酸化焼成と還元焼成 ¶
窯の中の酸素量によって、同じ着色剤でも色が変わります。酸素が多い「酸化焼成」では、コバルトは鮮やかな青になります。酸素を絞った「還元焼成」では、同じコバルトがより深みのある、くすんだ青になります。工房の「スモーク」シリーズは、還元焼成を部分的に使って表面に炭素を閉じ込めた作品です。
色の再現性について ¶
同じ配合、同じ焼成条件でも、毎回まったく同じ色にはなりません。窯の温度の微妙な変動、カレットのロット差、その日の湿度まで影響します。受注制作でも「この色に近いもの」という表現を使うのはそのためです。完全な再現性を求めるなら、工業的な製法が適しています。手吹きの色は、その日の窯の状態を反映します。
色のテストの方法 ¶
新しい着色剤を試すときは、必ず小さなテスト片を作ります。親指ほどの大きさのガラス片を作り、徐冷して色を確認します。本制作に入るのはテストで納得してからです。このテスト片が工房の棚に並んでいて、色の記録になっています。
色の選択は、受注制作の打ち合わせで最も時間をかける部分です。実際のサンプルを見ながら決めていただくのが一番確実です。ご相談はお問い合わせフォームから。