ガラスが光を通す瞬間に、少し驚く顔を見るのが好きだ。
中村 蒼に工房を開いたのは2014年の秋だった。富山ガラス造形研究所を出た後、ムラーノ島の工房で修業し、京都でギャラリーの仕事をしていた。ガラスを作る側に戻りたいと思い始めたのは、ある作家の個展で、光の中に置かれた一本のボトルを見たときだった。説明のいらない静けさがあった。その感覚を自分の手で作りたいと思い、物件を探し始めた。
蔵前を選んだのは、問屋街の名残がある街の質感が好きだったからだ。工房は元印刷所の建物で、天井が高く、窓が大きい。窯を据えるのに三ヶ月かかった。最初の一年は失敗作の方が多く、試作品が工房の隅に積み上がっていった。今でも試作は続けていて、新しい着色剤を試すときは必ず小さなテスト片を作ってから本制作に入る。色が窯の中でどう変化するかは、実際に焼いてみないとわからない部分が多い。
中村 蒼
ホスト · 創業 2014
中村 蒼、富山ガラス造形研究所で4年間学んだ後、ヴェネツィアのムラーノ島にある工房「Fornace Mian」で2年間修業した。帰国後は京都の工芸ギャラリーに勤務し、国内外の作家作品の展示企画を担当。2014年に東京・蔵前に自身の工房「Glow Monolith」を開いた。毎朝、窯に火を入れる前にレコードを一枚かける習慣があり、John Coltraneの「A Love Supreme」は工房の定番盤になっている。
吹きガラスの工房、東京・蔵前より。
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